長岡市で腰痛治療むちうち治療膝関節痛治療といえばきむら接骨院

腰痛基礎知識:「世界標準」の腰痛治療とは?

「恐怖は常に無知から始まる」
-Ralph Waldo Emerson-

「私たちは無知によって道に迷うことはない。
自分が知っていると信じることによって迷うのだ。」
-Jean-Jacques Rousseau-

怪我の要素や兆候がなく痛みの症状を訴えるケースが多いのが腰痛です。 腰の怪我なら怪我の治療から,ということになりますが,怪我の要素がない場合, どうすれば良いのか?痛みがあれば,それは怪我だ,炎症だ,で日本の腰痛治療の現状は, 50年前と比較するとどうでしょうか? 日本の総人口は,現在のところ,20世紀末から21世紀初頭にピークを迎え, それ以降減少傾向ですが,その頃と比較すると腰痛患者さん自体は増加しているそうです。
巷に腰痛患者さんを対象にした治療施術,物品販売が溢れる中,本当に有効なことができていたのなら, こういう現象が起こったでしょうか?
また,腰痛坐骨神経痛を訴える腰痛疾患には,主に2つの大きな問題が存在します。
第1に,腰痛疾患の発症率・再発率・慢性化率が高いこと。
第2に,腰痛疾患による就労障害化率が高いこと。
事実,厚生労働省(旧厚生省)が1986年から統計を取り始めて以降,この24年間で57%も腰痛患者が増えています。 これほど医学が進歩したにもかかわらず,腰痛疾患の患者さんだけがその恩恵を受けていないように見えるのは,大規模調査に 拠らない原因論と,長期治療成績を無視した治療方法を普及させたからだと世界の専門家たちは指摘しています。
実際,2010年世界疾病負担研究(GBD2010)における日本に対する評価は,「日本にとって最大の脅威は腰痛」とのことです。(2012年Lancet掲載)
GBD2014でも,再度同様の指摘がされています。
「道に迷う」かのように手当たり次第にあれこれと腰痛治療を試してみるのも悪くはありませんが,まずは「事実を知る」ことから 始めましょう。慣習に流されない,迷信のような「常識の嘘」に惑わされない,根拠に基づく治療 EBM=Evidense Based Medicineの始まりです。
(怪我の要素とはいえ,椎体圧迫骨折や横突起骨折,あるいは疲労骨折として発症すると言われる 脊椎分離症等,それに腰椎辷り(すべり)症は,広範かつ永続的な痛みの原因とはならないはずです。) 欧米諸国の腰痛治療に比べ,日本のこれまでの腰痛治療は,決して進んでいるとは言えないのが おわかりいただけると思います。(はっきり書いてしまうと,「進んでいる」どころか「20年遅れ」だと指摘している医師,研究者は少なくないのです。)

そもそも腰痛は,発症初期期から適切な対応をすれば,短期間で回復可能な疾患ですし,逆に言えば発症初期の不適切な対応が 慢性化や易再発化する確率を引き上げると言えるでしょう。そこで問題となるのは,腰痛患者さんへの 適切な対応とはどんな対応か,逆に不適切な対応とはどんな対応か?ということです。

ここ最近のテレビ番組等では,まるで30年前に逆行するかのような腰痛関連情報が取りあげられています。 海外の研究機関が大規模調査の結果として示してくれたことを無視するかのように,です。
私は,腰痛患者さんにとって「味方」でありたいし,「味方」でなければならないと考えています。
ここから先,色々なことをお示し致しますが,お示ししたことが腰痛治療の為の「味方」や腰痛予防の為の「味方」を探している方に とっての,手助けとなることと確信しています。

↑ PAGE TOP

  

腰痛基礎知識Ⅰ:病態概念の転換

  
2012年の年末に新しい「腰痛診療指針(ガイドライン)」が日本整形外科学会と日本腰痛学会により 策定され,発表されました。新聞の記事等で目にされた方も少なくないと思います。 (長岡市内の宅配新聞といえば新潟日報ですが,新潟日報では社会面で大きな記事として扱っていました。) 「腰痛診療指針のポイント」が,診療指針の要約として囲みで記事の傍らに掲載されていますが, 一般の方にも,また私たちのような腰痛を扱う医療者にさえ,なかなか理解しにくいようです。 (理解しにくいというよりも,受け入れ難いというところでしょうか?)
長岡市内の医療機関を例にとってみますと,この「腰痛診療指針」について,webなりblogなりで 触れているのは,このサイトを含め3件ほど。それもすべて接骨院整骨院です。 接骨院整骨院にしても,腰痛の本質としてとらえているのは,2件。ほか1件は 「新しい視点」としての扱いなので,旧態依然たる腰痛概念が主で,主となる旧い概念で 説明がつかない一部症例が該当するかのような捉え方のようです。一見画期的・進歩的に見えますが, これではあまり意味がありません。まったく考慮しないよりは,少しはましですが。



(グラフ解説:日本の総人口は減少傾向にあるはずなのに,腰痛患者数は増加傾向。 「腰痛患者増加と高齢者増加との関係は?」とお考えの方は,上のグラフをご覧下さい。 また,こちらもお読みください。)
  
記事の末尾には福島県立医大の矢吹教授の談話が掲載されています。 この談話に非常に重要なメッセージが込められています。
「痛むからといって,画像で原因が分かることは実は多くない。 単に加齢で起きている骨や神経の変化を画像で患者に示して 『だから状態が悪いんだ』と思い込ませるのは逆効果だ。」という矢吹教授の 談話に込められたメッセージは,「生物学的・構造的・物理的損傷モデルで 腰痛を捉えることから脱却し,生物・心理・社会的疼痛症候群として捉えよ。」と いうことに尽きるでしょう。

(新しい腰痛概念に基づく治療の成績は,旧い概念による腰痛治療に勝っている)
※現に欧米の腰痛治療先進国では,「従来の治療」と比較して,「現在の治療」の場合,回復までにかかる日数が 短くでき,再発率は低下したそうです。我が国での主流の腰痛治療は,腰痛治療先進国の場合の,「従来の治療」か 「現在の治療」か,どちらに相当するでしょう?
注意
1:わたし達は,心理・社会的疼痛症候群患者さんの訴える「痛み」を, 「気のせいだ」などと否定しているわけではありません。痛いことは確かです。 私自身がそうでしたので,身をもって理解しています。 どうか誤解なさいませんように。
(どんなに痛みが強くても,レッドフラッグ徴候のない腰痛患者さんは,心理・社会的疼痛症候群の患者さん…ということは, 実はほとんどの腰痛患者さんが心理・社会的疼痛症候群の患者さんだということです。)
※2018年 4月加筆:とはいえ,レッドフラッグ徴候の過信は禁物です。
https://jbjs.org/reader.php?source=The_Journal_of_Bone_and_Joint_Surgery/100/5/368/
(当院では患者さん方に,どんな疾患であってもまずは医科の先生の診断を仰がれるよう推奨しています。
診療案内のページをご参照下さい。)
  
2:非特異的腰痛の原因に関与している強い根拠があるとされている 「心理社会的因子」と俗に言う「ストレス」とは似て非なるものです。 仮に数学でいう「集合」の概念で表すなら,心理社会的因子⊃ストレスとなります。 (心理社会的因子のごく一部がストレス)ですので,俗にいうストレスケアというものや (得てして的外れな)ストレス解消というものが,非特異的腰痛をはじめとする疼痛症候群に どの程度有効かは甚だ疑問です。
  
3:欧米の腰痛診療ガイドラインには,レッドフラッグ要素には勿論ですが,イエローフラッグ要素にも 妊娠,出産,分娩という言葉が出てきません。これは何を意味しているのでしょう?
※2018.11. 2加筆:こちらのニュースサイトをご参照ください。
 
あるいは,こちらのサイトもご参照下さると良いと思います。
 
また,米合衆国での調査・研究から。
■妊婦54名と非妊婦41名の腰部椎間板をMRIで比較した結果,椎間板異常は 妊婦群で53%,非妊婦群で54%,椎間板ヘルニアは妊婦群で9%, 非妊婦群で10%,椎間板膨隆は両群とも44%と差がなかったことから, 妊娠は安全
http://1.usa.gov/luz28A
 
これらから懸念されるのは,日本の周産期女性の健康に関する指導,少なくとも腰痛に関する指導には 誤っているところがあるのではないか?ということかと思います。
 
4:医学者,医療従事者等から腰痛患者さん方へのメッセージは,50年前から変わっていません。 曰く「腰や膝を守れ,保護しろ。」,「腰や膝への負担を減らせ」。よって人間工学という学問の研究者たちは, 腰への負担を減らす努力をしてくれました。現在,私たちの「腰への負担」は,かつてないほどに 減少しました。また,20年前との総人口比較では,明らかに減少傾向ですが,腰痛膝関節痛等の 患者さんは増加傾向を示しています。医学や医療技術が進歩し,街には整形外科医院,接骨院整骨院が増え,そのうえ 整体店だのマッサージ店だのリラクゼーション店だのと,腰痛関連業種の事業所があり,生活水準も向上したはずなのに, 何故こういうことが起こるのか?私たちは,腰痛膝関節痛等に関する根本的な何かを間違っていたと考えるのが 妥当ではないでしょうか?
  
5:「『気持ちの良いこと』は腰痛治療になる」とお考えの方が少なくないようですが,果たしてそうでしょうか? それならば,上記4番めの後半部分を考えれば答えは自ずと明らかだと思います。(『気持ちの良いこと』で何かの欲求が満たされる可能性はあるでしょうが。)
  
6:コルセットについての評価を正しく理解している治療者や施術者は,もし仮に自分自身が腰痛を発症した場合にも,コルセットを 使うことはないと思います。腰痛持ちになる可能性も低いと思います。
  
7:重量物の運搬・前屈み・腰をひねる・振動を伴う仕事が腰痛の危険因子とは  いえない。ストレス・遺伝・幼少期の環境などの心理社会的因子も評価しな  ければ肉体労働と腰痛の因果関係は解明できない。
 
 http://1.usa.gov/VbSili
 
 http://1.usa.gov/WKS6G0
 
「原因は何だ?」と考えるお気持ちは,よく理解できます。しかし,ストレスや遺伝,果ては幼少期の環境等ですよ? これは個々の患者さんで異なるもので,非常に複雑で複合的な因子です。単刀直入に申すなら,ここまで来ると もはやあれこれ考えても仕方がないレベルだと思いませんか?
なので,少数のパターン化されるような単純なことが原因ではなさそうだし,考え込まないほうが 良いかも知れません。
  

↑ PAGE TOP

  

腰痛基礎知識Ⅱ:腰痛の理論?

  
「健康に関する常識を、疑っても良いのではないか?」と、「健康や美容に関する『常識』」の ところで書きました。それは、腰痛腰痛治療に関しても言えることです。   
これまでは、「確立された腰痛の理論がある。」というのが、「腰痛に関する常識」と されていましたが、様々な調査や研究の結果明らかになったのは、腰痛をうまく (つまり理論的矛盾なく)説明する理論はまだ確立されていない。」ということであって, これが腰痛に関する最新の事実です。
大手薬品メーカーのサイトや健康関連雑誌の記事等で、「腰痛は、直立二足歩行を 選択した人類の宿命」などという文言をみかけます。私たち医療者にも、薀蓄的にそう患者さんに 話す方がいらっしゃいます。
ならば,何故に腰痛の発症に,国や地域によって生涯発症率にして 11%~84%と地域差があるのか? 同じ直立二足歩行をしているヒトで,こういうことが起こる説明がつきません。 どうやら、「直立二足歩行云々」という説は、簡単に否定できそうです。
(2015.05.08加筆:そうかと思えば「現代生活での歩行機会の減少が原因」とも 言われるようですが,それなら「四つん這いで沢山歩け」ということでしょうか? ことここに至っては,腰痛患者さんを愚弄するのもいい加減に…と言いたくなります。)
また,椎間板ヘルニアに関しては、「なぜ症状が出るのか?」という ところからして,未だ研究の最中というのが実情です。

ということは?

従来(あるいは現在も)言われていた,「つぶれてはみ出した椎間板が神経根を圧迫して 腰痛が…云々」ということすら,腰痛の原因としての根拠は弱いものである,ということです。   
実際,無症候性(症状がない,腰痛等の痛みがない)の椎間板ヘルニアは,有症候性の 椎間板ヘルニアとほぼ同じ割合で存在するそうです。
単純X線像(いわゆるレントゲン写真)だけを見て、映ってもいない椎間板を云々すること自体に, あまり意味はないということは、もはや既定路線と言っても良いでしょう。
  
こういう観点からも、構造損傷モデルの腰痛理論から心理・社会的因子による 疼痛症候群モデルへの転換は大きな意義を持つと考えています。 腰痛治療についても同様に大きな意義をもたらすものと考えています。

↑ PAGE TOP

  

腰痛基礎知識Ⅲ:椎間板ヘルニア

先日,ある方とお話していた時に,椎間板ヘルニアが話題に上りました。
  
「今は手術しなくても良くなったんでしょ?」とその方はおっしゃいました。医療関係者の中でも, そういう認識の方がいらっしゃいます。そういう認識でも良いのですが,なんとなくニュアンスとして 「違うな」という感覚を覚えます。

(グラフ解説:長期の治療成績比較では,手術しないほうがbetter。)
 

まず,腰痛治療に関する正しい認識はこうでしょう。

腰痛は基本的に手術の対象となる疾患ではない。手術が必要なのは,重大な病変が存在する ごく一部の症例に限られる。」「重大な病変」というのは,生命予後的に危険な病変のことです。 それがなければ,手術は基本的に不要です。(もっと突っ込んで言ってしまえば,画像検査でさえ 上記の場合に限り必要となることです。換言すれば,ほとんどの腰痛患者さんには,画像検査は 不要というか,役に立たないものです。)

次に椎間板ヘルニアです。

現在,さまざまな研究や調査の結果言われているのは,椎間板ヘルニアは,腰痛や下肢痛を起こす 決定的因子とは言えないということです。
 

考えてみて下さい。

腰痛発症以前から,腰のX線画像(いわゆるレントゲン」)検査を受けている方がいるものでしょうか? なんともなければ気にもならず,腰のX線検査は不必要(当然です),それがある時,たまたま腰痛になった, どこかお医者さんを受診して,(丁寧に問診したり徒手検査をすれば不必要な)X線写真を撮ったら椎間狭小 (背骨と背骨の間隔が小さくなっているところがある状態)が見つかった,というのが,お決まりの パターンではないでしょうか?  
だとすれば,椎間狭小(椎間板ヘルニアの‘状況証拠’)発生の時期と 腰痛発症の時系列的関係は,果たしてどうなのでしょうか?
腰痛発症の直前の画像と,腰痛発症の直後のそれとを比較して, 初めて原因の候補に挙げることができるのではないでしょうか? 腰痛発症後に,状況証拠をみつけたからといって, 腰痛の原因と断定するのは,早計ではないでしょうか? 原因の候補に挙げることはできても,決定的因子とは言えないはずです。
 
実際,画像所見上の異常と腰痛の関係は,1950年代から現在に至るまでに, 複数の国で幾度となく調査が行われてきましたが,そのたびに調査結果として 報告されたのは,腰痛患者と腰痛のない人との間では,異常の検出率に差が 認められないということです。

ではMRIではどうなのか?


MRI画像所見上の異常についても,欧米では1990年代以降調査が行われました。 結果は,「非腰痛群の60%以上に,椎間板異常の画像所見が見られる。」でした。 椎間板異常には,もちろん椎間板ヘルニアが含まれています。 よって,MRI上の所見においても,椎間板ヘルニアはやはり腰痛の決定的因子とは 言えないということです。
  
では何が腰痛の決定的因子となるのか?
何をもってして,腰痛治療するのか?

きむら接骨院は,その答えと腰痛治療法を用意して,あなたのご来院をお待ちしております。
  

↑ PAGE TOP

  

腰痛基礎知識Ⅲ:椎間板ヘルニア(2)

「もう長いこと腰痛で困っていまして。椎間板ヘルニアとの診断を受けました。」 当院を受診される腰痛患者さんから聞くことの多い言葉です。
ちょっと冷静に考えてみましょう。
まず椎間板ヘルニアの多面性について,皆さんは恐らくある一面しか知らない… いえ,正しくは「知らされていない」のではないでしょうか? (あるいは「知ろうとしていない」のかも知れません。)

それにしても,誤った病態概念に基づいて行われる「治療」は,大概的外れでしょうし, 問題が長期化するのも無理からぬことです。 また,長期化している方は,得てして「あちこち行きましたけど,なかなか良くならず…。」と おっしゃいます。
ここはひとつ冷静に考えてみましょう。結局のところ,どこへ行っても病態概念自体が誤っていて, 的外れな治療を受けているから,長期化するのではありませんか?だけど,そこには気付かない。 ということは,患者さん自身が持っている椎間板ヘルニアの病態概念が誤っているということでもあり, 治療としては的外れであることにも,当然ながら気付かないということに他なりません。 また,それは同時に「痛み」の持つ多面性にも気付いていない,「視野の狭い医学モデル」に とらわれているということでもあるでしょう。
あるいは,「からだの症状を誤って解釈し,最悪の事態だと考えている」からかも知れません。

(当院に1回/週のペースで3カ月ほどの通院で,ほぼ無症状となった患者さんの腰部MRI画像。
整形外科専門病院で検査。「これで手術や注射無しに無症状化するはずがない」と お考えの方は,腰痛治療先進諸国のガイドライン中の,「不適切な態度と信念」カテゴリーの 因子のいくつかが該当しそうです。)

腰痛基礎知識Ⅳ:脊椎(背骨)

  
腰痛と背骨についても触れておきます。
  
多くの腰痛患者さんは,症状がなかなか軽快しない,あるいは急にひどい痛みを感じた, それから医科への受診をいう経過を辿っていることと思われます。そして,「なにはともあれレントゲン」と ばかりに,真っ先に受ける検査が単純X線撮影=レントゲン画像検査でしょう。 (前項にも書いたとおり,丁寧に問診し,視診,触診,徒手検査をすれば 危険兆候や外傷との鑑別は可能であり,画像検査も当然不要です。ですので, 「腰痛診療指針」ではそのように推奨されているのです。)
さて,X線写真から見てとれる背骨の異常が,本当に腰痛の原因なのかは,その患者さんの腰痛発症前の状態と 比較することが重要ですが,腰痛発症前にX線写真を撮っている方など,まったくおられないと思います。 これは前項「腰痛椎間板ヘルニア」で触れたとおりです。それならば,せめて腰痛のない人たちの それと比較してみたらどうでしょうか?
  
ところで私は腰痛に関する記事には,「腰痛ガイドブック」(春秋社,長谷川淳史氏 著)から 多くのデータの引用をしています。日本国内の調査データがないためか,海外での調査データが 多いのですが,欧米諸国では1950年代から腰痛の原因を探ろうという動きがありました。
(ということは,構造損傷モデルに基づく腰痛治療に,欧米では当時から 懐疑的な動きがあったということを意味します。腰痛治療に関しては, 日本は決して「進んでいる」わけではありません。)
  
(この調査の場合,健康診断=非腰痛患者。非腰痛患者にも, 辷り症や分離症がこれだけの割合で見受けられる。)
  
この2つの調査結果から何が読み取れるでしょうか?
腰痛患者と非腰痛患者から得られた数値に有意差があるでしょうか?
  
これらの調査結果から結論として報告されたことは,画像上の背骨の異常所見は 必ずしも腰痛と関連しているとは言えず,ほとんどは単なる「生理的変化に 過ぎない」ということでした。
※いつまでも「歪み」だの「ズレ」だのと医学的根拠のないことを原因論としている時代ではないということでもあるでしょう。

↑ PAGE TOP

  

基礎知識1:腰痛と診断名

  
腰痛(その2)で,「確立された腰痛の理論はない」という事実をご紹介しました。
今回はそれに関連する事柄になります。
わたし達は,日常診療で様々な診断を受けた腰痛患者さんと接しています。 なにがしかの診断を受けると,安心される方がいらっしゃる一方,絶望的な心情や不安・恐怖を 感じる方もいらっしゃることでしょう。ですが,「米国の『成人に対する急性腰痛のガイドライン』では, こんなことが書かれている」と,ある脊椎外科専門の先生が,ご自身の著書に書いておられます。
腰痛症や坐骨神経痛に悩み苦しむ患者さんにとって,希望を見出すきっかけとなるかも知れないと 思われますので,ご紹介してみましょう。
見聞きしたことのある腰痛診断名かと思いますが,これらには「確証がない」ということなのだそうです。
以下に列挙します。
  
・線維輪断裂(椎間板変性の一つ)
・線維筋痛症
・脊椎症
・関節変性疾患(「変形性関節症」の類)
・椎間板障害・破壊(椎間板変性)
・成人脊椎分離症
・椎間板症候群
・腰椎椎間板症
・捻挫
・脱臼
・筋膜炎
・挫傷
・椎間関節症候群
・椎間関節症
・亜脱臼

↑ PAGE TOP

  

基礎知識1:中間点での総括:改めて概念の転換を迫る

現時点で腰痛に関して,特に急性腰痛に関しては,明言できることは多くはありません。 「腰痛を上手く説明できる理論は確立されていない」ということ,「非特異的腰痛の原因に 心理・社会的因子が関与している」という2点だけが,2017年の今日現在で明言できることです。特に後者に ついては,日本整形外科学会と日本腰痛学会が2012年末の時点で(といっても,欧米諸国と比較すれば遅いのですが), 「強い根拠がある」としています。
これは逆に言えば,不良姿勢や体型・体格,骨盤・椎骨の歪みやズレ,歩行動作(脚や足の動かし方等を含めて)や, 年齢,性別,職業等で説明のつくことではない,まして「気の流れ」や「波動」などという疑似科学とも言えない 迷信に近いもので説明のつくことでもない,ということを意味しています。もし,あなたがこれらのことが原因と 考えるなら,それは「認知の歪み」である可能性があるでしょう。あるいは,それらのことを是正する治療を受けた, 私には効いたと考えているのなら,誰かによって認知の歪みを摺りこまれた可能性もあります。(因みに,そうした「認知の歪み」を 摺りこむ人は「クワッカリー」と呼ばれるようです。)そろそろ本気であなたの腰痛と その原因や治療のことを考えなければならない時期に来ているのではないでしょうか?
アメリカ オレゴン州ポートランドのプライマリケア医 デイビッド・シュート氏のコメントをご紹介致します。 「患者は生体力学的な視点から生体力学的な異常が見つかることを期待している。何らかの形で我々が患者にそのような 考え方を教えてきたのである。患者にも再考を迫る必要がある」。
この言葉の意味を,患者さん方に考えていただきたいと思いますし,また治療や施術の提供者の方々にも 考えていただきたいと思います。
それから,このページを最後まで読んで下さった腰痛でお困りのあなたへ。
これでもまだ「今までの治療」を続けますか?
  

↑ PAGE TOP

inserted by FC2 system